あなたは、年々上がる売上目標にうんざりしていませんか。
目的が示されないまま、売上目標だけ上がっていくのは納得感がありません。数値目標は、根拠や理由があって初めて納得できるものです。
目標を達成するためには、売上目標の先にある目的を理解することが大切です。
今回は、正しい目標設定をするための手順についてお伝えします。
目的と目標の違いについての学ぶ記事はこちら>>目的と目標の違いを理解して仕事で成果を上げる方法
- 営業職の問題解決型ストーリーを使えるようになる
目的と目標は手順が大事!営業職特化の問題解決型ストーリー

- 目的の明確化
- 現状把握
- 目標設定(数値化)
- 活動計画(実施時期と責任の所在の明確化)
- 要因解析
- 戦術の立案と実施
- 効果の確認(過去実績との結果を比較)
- 標準化と管理の定着(ルーチンワークに取り入れる、ルール化)
目的と目標を設定するときには、目的をはっきりさせた上で目標を設定することが大切です。
目的を決めないまま目標値を決めてしまうと、なぜその目標値が必要なのか納得感がないまま、ただ目標数値に追われる日々が始まります。
今回は、品質管理で使われるQCストーリー問題解決型をベースに、営業職の目標設定に使うためのアレンジをしました。
QCストーリーの簡単な説明をはさんでいますが、QCストーリーを知っている人は、飛ばして営業職特化の問題解決型ストーリーの解説に進んでください。
QCとは、Quality Controlの略で、品質管理のことです。製造業で製品の品質を一定水準に保つことを目的としています。
QCストーリーは、品質を一定に保つために問題解決していく手順です。QCストーリーは、「問題解決型」、「課題達成型」、「施策実行型」があります。
仕事の基本を学ぶときは、問題解決型のストーリーを意識することが大切です。
成果を出している人は、QCストーリーを知らなくても仕事の基本として問題解決型の手順を理解している人が多いので、ぜひ覚えておきましょう。
1.目的の明確化
あなたの「あるべき姿」を描いてみましょう。
あなたはどうなりたいですか。たとえば、営業職なら、トップセールスマンを目指すのか、マネージャーを目指すのかで、現状把握の仕方、目標設定など、行動する内容が変わります。
目的の段階では、数値化する必要はありません。
少し努力すれば到達できる小さな夢や理想を描くよりは、努力しないと達成が難しい大きな夢や理想を描くことが大事です。

今回は、あなたが営業職で3年以内に所属している拠点でトップセールスマンになることを目的とします
2.現状把握
現状把握は、今のあなたの状態を正確に把握することが大切です。
現状把握が甘いと目標を達成することは難しいと考えてください。逆に、現状把握が正確にできると、やるべきことが見えてくるので成果を出しやすくなります。
現状把握の時点では、目標設定に直接関係する目的に到達するための数値、現状の数値を出すだけでなく、できるだけ現状がわかる分析をすることが大切です。
今回の例の場合、拠点のトップセールスマンになることを目的にしました。拠点のトップセールスマンになるために必要な数値を紐解いていくことが大切です。
拠点のトップセールスマンの年間売上とあなたの年間売上は把握していないと目標設定ができないのでしっかり数値を紐解きましょう。



今回は、拠点のトップセールスマンが年間売上3億円、あなたの年間売上が1億8,000万円とします
3.目標設定(数値化)
目的と現状の差を埋める数値を目標に設定します。目標設定は数値化することが大切です。
今回の例の場合、拠点のトップセールスマンを目指すので、トップセールスマンの年間売上が3億円、あなたの年間売上が1億8,000万円なので、目的と現状の差は1億2,000万円です。
あなたがトップセールスマンになるためには、年間売上目標3億円以上、売上アップ額は年間1億2,000万円以上が必要になります。今回は、トップセールスマンの売上に追いつくことで目標達成とします。
目標を設定するときは、必ず期限を設定してください。
もし、予算があるなら予算の期限で設定しましょう。今回は、年間売上で拠点のトップセールスマンを目指すので、期限は1年で設定します。



今回は、目標を、年間売上3億円、売上アップ額1億2,000万円、期限1年とします
4.活動計画(実施時期と責任の所在の明確化)
活動計画は、タイムスケジュールです。期限が1年なので、活動計画は1年の時間軸を横軸にした行動計画を立てます。
行動計画は、QCストーリー問題解決型(営業職応用)の手順を時間軸で落とし込んでください。
たとえば、「4月初旬:目的の明確化」「4月中旬:現状把握」「4月下旬:目標設定」「5月初旬:活動計画」「5月中旬:要因解析」「5月下旬:対策の立案」「6月:対策の実施」のように、スケジュールを立てます。



行動計画は、8項目すべてに時間の期限を設定してください
5.要因解析
QCストーリーの要因解析は、問題の原因を特定し、因果関係を明らかにする手法です。魚の骨と言われる特性要因図を使います。
今回の例の場合、魚の頭に書く問題点を「トップセールスマンになれない」としてみます。トップセールスマンになれない理由を魚の骨に落とし込みます。
大きな骨が、「担当している顧客の攻略ができていない」「新規顧客の開拓ができていない」の2つにしてみましょう。



要因解析は目標達成のためのアイデアの宝庫!
6.戦術の立案と実施
戦術の立案は、要因解析の内容から、目標達成に影響が大きいことから順番に実施していきます。
たとえば、担当顧客の売上を伸ばすのか、新規顧客開拓で売上を伸ばすのか、どちらの対策をするのが影響が大きいかを考えてみましょう。
販売している製品がリピート率の高い製品とした場合、担当している顧客の中の優良顧客に販売をすることが目標達成の一番近道かもしれませんし、担当している顧客の大半がすでに購入していて伸びしろが少ない場合なら、新規顧客開拓に注力する必要があります。
売上を1億2,000万円アップに一番近づく対策から実施していきましょう。



目標達成に影響の大きい対策から始めましょう
7.効果の確認(過去実績との結果を比較)
対策をする期間を決めて活動したら、効果の確認をします。
効果の確認をして、目標をクリアできたら次の標準化と管理の定着に進みます。
目標が未達の場合は、もう一度要因解析に戻って、目標達成に大きな影響を与える次の対策(対策の立案2)を立てましょう。
目標が達成されるまで対策の立案と実施を繰り返すことが大切です。



結果につながった対策を標準化して誰でも再現できるノウハウにしましょう
8.標準化と管理の定着(ルーチンワークに取り入れる、ルール化)
目標を達成したら、あなたのノウハウや手順を標準化します。
たとえば、対策の立案でうまく目標に近づくことができた手法などは、再現性があるなら、ルーチンワークに取り入れてみたり、ルール化するなど、あなた以外の人が再現できるようにしておきましょう。



目標達成に貢献した効果が大きかった対策を標準化して誰でもできるようにしてみましょう
QCストーリー問題解決型と「営業職特化の問題解決型ストーリー」の比較


QCストーリー問題解決型 | ⇒ | 営業職特化の問題解決型ストーリー |
テーマの選定 | ⇒ | 目的の明確化 |
現状把握 | ⇒ | 現状把握 |
目標設定 | ⇒ | 目標設定(数値化) |
活動計画 | ⇒ | 活動計画(実施時期と責任の所在の明確化) |
要因解析 | ⇒ | 要因解析 |
対策の立案と実施 | ⇒ | 戦術の立案と実施 |
効果の確認 | ⇒ | 効果の確認(過去実績との結果を比較) |
標準化と管理の定着 | ⇒ | 標準化と管理の定着(ルーチンワークに取り入れる、ルール化) |
今回、目的と目標を設定し、正しい成果を出すためのストーリーを作りました。
ベースにしたQCストーリー問題解決型を、営業職の目標管理や実務に特化したストーリーに改良しています。
営業職特化の問題解決型ストーリーの手順通りに進めることで、目標達成する道が見えてきます。
目標達成のためのポイント
目標達成のためのポイントは、目標の先にある目的を明確にすることです。
目的がはっきりと言語化できれば、目的の途中にあるチェックポイントの目標を達成する理由になります。目標が決まれば、現状のあなたが目的に到達するために何をすべきか見えてきます。
目標の期限を設定することで、期限から逆算して行動計画を立てることができます。行動計画を立てることができれば、あとは目標達成するために優先順位の高い順番に行動していくだけです。
成果を出す人はセンスに頼らず努力している
成果を出す人のことを、センスや才能がある人と表現している人がいます。
成果をセンスや才能で片づけてしまう人は、自分にはセンスや才能がないから成果が出なくても仕方がないと成果が出ない自分を正当化しているのです。
成果を出し続ける人は、センスや才能がある人であっても努力を怠りません。成果を出すだけならセンスや才能でごまかすことができても、成果を出し続けるためには努力が必要です。
成果を出す人は時間を大切にしています。同じ時間を過ごすなら、成果を出す人は、イヤイヤやるより楽しんで取り組む方法を探します。
お金は目的ではなく目標値のひとつに設定する
努力のきっかけはお金でも構いませんが、お金を目的に設定しないようにしましょう。
お金は目的を達成するための手段のひとつにすぎません。お金を目的にするのではなく、お金が手に入ったら何がしたいか考えてみましょう。
お金以外を目的にする3つの手順
- 預金通帳の残高に0を3つ足す(1000倍)
- 10億円あれば何がしたいか考える
- 欲しいものを手に入れた先に何があるのか考える
お金を目的にしてしまう場合は、あなたの預金通帳の残高に0を3つ足した金額をイメージしてください。(貯金が100万円なら10億円になります)
次に、あなたの預金残高がもし10億円なら何がしたいかを考えます。たとえば、あなたが3億円の家を建てると考えたなら、まだお金が目的になっています。
3億円の家を建てて実現したい夢を言語化してみましょう。夢を実現するために3億円の家が必要だから、目標金額を3億円にすると設定できるのです。
夢を実現するために目標達成が必要と、あなた自身が納得できれば目標を達成する可能性が高くなります。
3,000万円の家ではなく3億円の家に住んでいるあなたをイメージしてみてください。実際に買う家は3,000万円の家でもいいですが、目的は大きく描いてみることが大切です。
目的と目標が達成できるかは目的の強さで決まる


- 夢を叶えるのに必要なお金を計算する
- 地位や名誉が必要な理由を明確にする
目的と目標が達成できるかは、あなたの夢を叶えたい気持ちの強さで決まります。
夢を叶えるのに必要なお金を計算する
たとえば、あなたの人生の目的が3億円の家を建てることだとしましょう。3億円の家を建てる理由は、クルマ好きの友人を招いて好きな車を並べて交流することだとします。
3億円の家と高級車を何台も所有し維持するという目的は、普通のサラリーマンでは達成できない大きさです。
あなたの目的(3億円の家を建て、好きなクルマを買いそろえ、すべてを維持する)を叶えるためにいくらお金がかかるのかを計算をします。
お金がいくらかかるのかを計算できれば、目的のためにいくらの目標金額に設定すればいいのかがわかります。少なくても「毎日残業をして残業代を稼げば目標が達成できる」とは考えないはずです。
地位や名誉が必要な理由を明確にする
もうひとつ例を出してみます。
あなたは、今働いている会社で出世することを目的に頑張っています。なぜ、出世したいのか理由を言葉にしてみましょう。
あなたの出世したい理由が、自分の地位や名誉、お金のためだとしたら、会社側にはあなたを出世させるメリットがあるかを考えてみてください。
あなたが出世したらどんなことを実現してくれるのかが大切です。
会社は、あなたが仕事を頑張っているから出世させるわけではありません。あなたが出世することで、会社への貢献が大きくなるから出世させるのです。
出世することを目的にするのではなく、何を実現するために出世する必要があるのかを考えてみることが大切です。
私が30代で実現したかったことは、組織の評価を「公正な評価」に近づけることでした。
一生懸命努力をしている人たちが評価されず、ゴマすりや小手先のテクニックでごまかしているだけの人たちが評価されている組織では優秀な人が定着しません。
私が営業マンのときに、評価されていないけど頑張っている後輩の話をしても耳を貸す人はいませんでした。でも、立場がかわれば「公正な評価」について話をすれば耳を傾ける人が増えました。
当時の私は、出世が目的にはなっていませんでした。疲弊していた組織に必要な公正な評価を確立するために出世が必要だったのです。
公正な評価を目指すことで、コツコツ努力している人や新しい人たちにチャンスを与えることができます。公正な評価をすることで、切磋琢磨して互いに成長するメンバーが集まる組織に近づくことができました。
【まとめ】目的と目標の設定について


目的と目標の設定に役に立つ、QCストーリー問題解決型を応用した「営業職特化の問題解決型ストーリー」の紹介をしました。
目的と目標を明確にすることで、成果を出しやすくなります。目的は大きく描き、目標は具体的に数値化し、期限を設定することが重要です。
目的や目標が達成できるかは、あなたの夢を叶えたい気持ちの強さや行動力によって決まります。
地位や名誉、お金を目的にするのではなく、地位や名誉、お金は夢(目的)を叶えるための手段であることを忘れないようにしてください。
営業職特化の問題解決型ストーリー
- 目的の明確化
- 現状把握
- 目標設定(数値化)
- 活動計画(実施時期と責任の所在の明確化)
- 要因解析
- 戦術の立案と実施
- 効果の確認(過去実績との結果を比較)
- 標準化と管理の定着(ルーチンワークに取り入れる、ルール化)