さよなら在宅勤務?企業がリモートワークを廃止する10の理由

当ページのリンクには広告が含まれています。
在宅勤務が廃止される10の理由

パンデミックの影響で普及した在宅勤務ですが、多くの企業では廃止する動きになっています。

業種、職種によっては、在宅勤務を含むテレワークが新しい働き方として定着していますが、多くの企業が在宅勤務を廃止する動きになった理由について考えておくことは大切です。

今回は、在宅勤務が廃止される10個の理由について解説します。


目次

在宅勤務が廃止される10の理由

在宅勤務が廃止される10の理由
  • セキュリティリスクの増加
  • 生産性の管理が難しい
  • コミュニケーションの低下
  • 組織の一体感や企業文化の維持が困難
  • 取引先や顧客対応の都合
  • 労務管理の複雑化
  • オフィスの有効活用やコスト問題
  • 設備投資へのハードル
  • 日本の住宅事情
  • 紙や印鑑の文化がある


日本では、以前からテレワークを導入している企業もあったものの、パンデミックの影響で一気に在宅勤務が話題になりました。

働き方改革の推進もあり、在宅勤務は定着すると思われたものの、パンデミック収束後、中小企業だけでなく、大手企業も含め、多くの企業が在宅勤務を廃止します。

個人的には在宅勤務は賛成ですが、どの業種・職種でも在宅勤務が効率的とは言えないのが現状です。

私が実際に話を聞いたことも含め、在宅勤務を定着させるハードルを10個にまとめましたので、一緒に確認していきましょう。


理由1:セキュリティリスクの増加

  • オンラインの情報漏洩やサイバー攻撃のリスク
  • 盗み見などのオフラインの情報漏洩リスク


在宅勤務が廃止される理由で一番最初に上がるのがセキュリティリスクです。

在宅勤務は、情報漏洩やサイバー攻撃のリスクが高まります。とくに、企業の機密情報や顧客データを扱う業務では、セキュリティ体制の強化が重要です。

テレワークの場合は、在宅勤務以上にセキュリティリスクへの対応が必要です。

ネットセキュリティの問題だけでなく、カフェなどオープンスペースで仕事をする場合には、オフラインでの情報漏洩のリスクも考えておく必要があります。

パソコンの画面や手持ち資料などからの情報漏洩だけでなく、電話などのやり取りが周囲に筒抜けになってしまっていることもあり、企業側としてはどこまでルールにするのか判断が難しいのが課題です。

ルールを整備する手間を考えれば、業種・職種によっては在宅勤務を廃止する判断になるのは理解できます。


在宅勤務を導入する場合は、インターネット環境を整えるだけでなく、パソコンの使用ルールを含めたセキュリティリスクの社員教育を徹底するなどの企業努力が必要になります。


理由2:生産性の管理が難しい

  • 評価基準の整備が必要
  • 定期的な報告ルールの整備が必要
  • 仕事の遅れや問題を発見できる仕組みが必要


在宅勤務では、上司やマネージャーが部下の働きぶりを直接見ることができないため、仕事の進み具合や成果を正しく把握するのが難しくなります。とくに、成果を数値化しにくい業務は評価基準をはっきりしておくことが大切です。

在宅勤務では「長時間パソコンの前にいる=仕事をしている」とみなされがちで、成果よりも勤務時間が評価基準になってしまうケースがあります。「成果」や「努力の過程」ではなく時間で評価する仕組みは、社員のやる気が下げ、生産性が落ちることにつながります。

また、仕事の遅れや問題に気づきにくいことにも注意が必要です。問題が発覚したときにはすでに対応が難しくなっていることもあります。タスク管理ツールの活用や、定期的な報告の仕組みが必要になりますが、新たな手間が増えることになります。

一方で、在宅勤務を導入することで、見えにくかった「本当の仕事の成果」が見える化します。

出社していたときは、頑張っているように見えていた人が、実は成果を出せていなかったことが浮き彫りになります。

上司へのゴマすりで評価をされていた人は仕事で成果を出さないと評価されなくなります。

とくに、営業職は、出社をしているときは「努力の過程」も評価に含まれることがありましたが、リモートワークでは営業成績などの具体的な成果がより重視されるようになります。

会社への貢献度が低く、会社に頼りきりで仕事をしていた人は厳しい評価を受ける可能性が高まります。

在宅勤務は、報告の仕方や仕事の進め方、パソコンスキルなど、社員の実力が見えてしまうため、ベテラン社員が多い企業では全体最適を考えて在宅勤務を廃止することもあります。


在宅勤務は、成果を数値化しにくい職種や、会社に頼りきりの仕事ができない人には厳しい評価になることがあるので注意が必要です。


理由3:コミュニケーションの低下

  • 明確な指示と結論からの報告の定着が必要
  • 新入社員への配慮が必要
  • 仕事内容によっては対面が必要


日本では、まだまだ明確な指示を出すことや結論から先に述べるコミュニケーションスタイルが、十分に定着していません。

日本特有のあうんの呼吸やあいまいな表現は、顔の見えない在宅勤務ではトラブルの原因になります。

察することを美徳としていると、表情や声のトーンなどから察することができない在宅勤務では、正しく伝わらないことがあります。

とくに、新しい社員は企業文化や慣習がわからないため、研修期間は出社するなどの配慮が必要です。

さらに日本では、重要な報告や企業内の情報共有、新しいアイデアを出すときには、まだまだ対面する文化があります。

在宅勤務を導入することで問題解決力が低下すると考える企業が多いことも、在宅勤務が廃止される理由になっています。


在宅勤務の導入には、若手側だけでなく、ベテラン側のコミュニケーションの質をかえてもらうことが大切です。チャット機能をうまく活用するなど、出社しているときのように相談しやすい環境を作る工夫が必要です。


理由4:組織の一体感や企業文化の維持が困難

  • オンラインでも気軽に相談できる仕組みが必要
  • 新入社員が企業文化や価値観を理解できる仕組みが必要
  • リモートで孤立しないよう配慮が必要


在宅勤務が続くと、社員同士の交流が減り、チームの一体感が弱まることがあります。

オフィスでは雑談やランチ、ちょっとした相談を通じて自然に関係が築かれる良さがありますが、リモートではちょっとしたやり取りをする機会が少なくなり、チームワークが取りにくいのが課題です。

在宅勤務が続くと、新しく入った社員に企業文化や価値観を伝えるのが難しくなります。

上司や先輩から直接学ぶ機会が減り、会社の雰囲気や仕事の進め方がわかりにくいことが課題です。

在宅勤務では社員が孤立しやすく、やる気が下がることがあります。

オフィスでは上司や同僚から声をかけてもらえますが、リモートだと自分の頑張りが見えにくく、評価が伝わりづらいこともあります。


組織の一体感や企業文化を維持する課題を解決するには、オンラインイベントや対面での交流を増やすなどの工夫が必要です。


理由5:取引先や顧客対応の都合

  • 対面が必要な打ち合わせや現場対応の仕事
  • クレームや大事な商談は対面で対応する


在宅勤務では、取引先や顧客とのやりとりがスムーズにいかないことがあります。

とくに、対面での打ち合わせや現場での対応が必要な仕事では、リモートでは対応が難しくなる場面があります。

取引先によっては、紙の書類や印鑑を使った従来のやり方を続けているところもあり、結局オフィスに行かないと手続きが進まないことがあります。時代の大きな流れで少しずつ解消されますが、取引先の業種などによってはすぐに課題を解決するのは難しいこともあります。

顧客対応では、メールやチャットだけでは伝わりにくいことを意識しておくことがあります。とくに、クレーム対応や大事な商談では、直接会ったほうが信頼を築きやすい場合があります。

仕事の内容によっては、在宅勤務だけでは対応しきれず、出社が必要になることがあります。在宅勤務を導入していない企業がダメというわけではなく、在宅勤務を導入できるかは業種や職種によるところがあります。


在宅勤務だからすべてメールやチャットで対応しておけばいいというわけではなく、電話をしたり直接会って話をすることで仕事がスムーズに進むことがあります。


理由6:労務管理の複雑化

  • 仕事の見える化が必要
  • ソフトウェアなどの設備投資が必要


在宅勤務では、社員の働く時間を正しく管理するのが難しくなります。

オフィスなら出勤や退勤の時間がはっきりわかりますが、リモートでは勤務時間が決まっていたとしても社員の勤務時間を把握しにくくなります。

自宅だと仕事と休憩の区別がつきにくく、気づかないうちに長時間働いてしまうこともあります。出社していないことで、疲れがたまっていることに気づきにくいことがあり、健康にも悪影響が出ることにも注意が必要です。

企業は労働時間を適切に管理する必要があるため、在宅勤務を導入するために新しいシステムを導入したり、ルールを作ったりする必要があり、負担が増えます。


在宅勤務の場合、出社するときに比べ運動不足になりがちです。通勤する時間がなくなる分、散歩をするなど体を動かしましょう。


理由7:オフィスの有効活用やコスト問題

  • オフィスの維持費
  • 新たな設備の整備費用


在宅勤務が増えると、企業が借りているオフィスのスペースが無駄になってしまうことがあります。

広いオフィスを維持するには、家賃や光熱費などのコストがかかるため、出社する人が少ないと、オフィスの維持費が無駄になります。

オフィスを縮小しようとしても、すぐには契約を変更できない場合があり、コスト削減が難しいこともあります。

難しいのは、出社と在宅を組み合わせる場合です。

社員が出社することがあるなら、仕事ができる環境を用意しておく必要があります。個別のデスクは不要でも、フリーアドレスデスクを導入するなどの設備の整備が必要になり新たなコストが発生することがあります。

在宅勤務は、オフィスの使い方を見直してコストとのバランスを考えることが、企業にとって大きな課題になります。


すべての職種を在宅にするのが難しいときは、在宅勤務の導入ルールを決めておかないと不公平感が出ることがあるので注意が必要です。


理由8:設備投資へのハードル

  • オンライン環境への設備投資
  • 社員のIT教育にかかる費用


新しい設備やテクノロジーへの投資が難しいと、業務の効率化が進まない可能性があります。

ウェブ会議やオンラインシステムを導入していない企業、または設備投資する余裕がない企業では、在宅勤務の実現は難しくなります。

社員のITスキル不足も課題のひとつです。

たとえば、「ウェブ会議の招待の入り方がわからない」、「チャットの使い方がわからない」、「パソコン操作でわからないことがあると誰かに助けてもらっていた」人が多いなら、在宅勤務を導入してもメリットは出にくいと考えましょう。

社員のITスキルアップのために、IT教育(研修)など、新たなコストがかかることになり、企業の負担が大きくなります。


在宅勤務を導入するには、社員の自宅のインターネット環境を整えるだけでなく、社員のITスキルを向上することが大切です。


理由9:日本の住宅事情

  • 自宅の仕事スペースの確保
  • デスクや椅子などの費用


日本の住宅事情では、在宅勤務の導入が難しいことがあります。長時間仕事ができる環境を整えるのは大変です。

リビングの椅子で仕事をしていたり、自宅が仕事に集中できない環境の場合は、在宅勤務では仕事のパフォーマンスが落ちることになります。

デスクや椅子、モニターなど、オフィスと同等の仕事環境を自宅に作るのは大変です。費用がかかる問題以上に、日本の狭い住宅事情で、自宅に仕事が集中できる広さのスペースを用意するのは簡単ではありません。


勤務体制が完全在宅ではなく、出社と在宅がある場合は、職場から遠い郊外に引っ越すことは難しくなります。今後、都会のマンションなどスペースが狭い場合は、在宅勤務のときに仕事スペースを確保できるかを考えておきましょう。


理由10:紙や印鑑の文化がある

  • 取引先に紙や印鑑の文化がある
  • ソフトウェアを使うだけの社員のITスキル


日本には紙ベースの資料や印鑑による承認プロセスがまだまだ多く残っています。紙や印鑑の慣習が、デジタル化に向けた改革を遅らせており、在宅勤務の継続を難しくしています。

2024年から電子帳簿保存法に対応するために、電子の文書を紙の文書と同じ感覚で操作できるソフトウェアを導入するなど、企業もお金をかけてデジタル化を進めています。

紙や印鑑文化は他の問題に比べると解決できる可能性が高い理由です。

在宅勤務を導入する・しないに関係なく、デジタル化を進めることで、業務効率を上げることにつながりますので、企業側もデジタル化を進めることが大切です。


時代の流れで、電子の文書を活用する企業が増えました。デジタル化に対応するソフトウェアを導入する場合には、社員のITスキルに差があることを理解し、誰でも使えるように工夫しましょう。


在宅勤務が当たり前になっても廃止されてもいいようにしておく

在宅勤務が当たり前になっても廃止されてもいいようにしておく


パンデミックの時期には、在宅勤務が当たり前になるような風潮もあり、ビジネスパーソンがライフスタイルを考えるきっかけになりました。

土地代の高い都会の狭い部屋よりも、少し地方に行くことで大きな家を買うことができます。あるいは、地方出身の人は、地元に帰って普段は在宅勤務で仕事をする流れもありました。

パンデミックの時期に都会から田舎暮らしに踏み切った人たちの中には、今も完全テレワークの会社で働いている人もいます。しかし、パンデミック収束後に会社が在宅勤務を廃止するなどの対応をした場合は、再び田舎暮らしから通勤圏内に引っ越すことになる人もいました。

あるいは、通勤圏内であっても、職場のある都会から遠く離れた郊外に家を買ってしまった場合は、通勤時間が長くなり苦労している人もいます。

パンデミックのような世界中が混乱した状況で判断されたことは、平常に戻ると続かないこともあります。企業は利益を上げるために努力をしていて、在宅勤務に合わない業種や職種の場合は無理に在宅勤務を導入するメリットがないからです。

在宅勤務にはいくつもの課題が残るため、在宅勤務を完全に廃止する企業も少なくありません。しかし、ビジネスの世界では、常に状況が変化していることを忘れてはいけません。

在宅勤務の課題を克服できれば、働き方の柔軟性を活かした新しい時代の労働環境が実現できる可能性も秘めています。

他人事にせず、あなたが在宅勤務を導入するなら、今回の10個の課題をクリアするのかを考えてみましょう。


在宅勤務に必要なスキルを身につける>>スキマ時間に学べる「オンスクJP」の資格学習おすすめ


よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次