経費削減と聞くと、経費を使わないことだと考える人もいます。しかし、経費を削減するだけでは強い会社は作れません。自分のお金は大切にするのに、経費になると急に大切にしなくなるのは不思議なことです。
今回は、経費を使うことの多い営業パーソンに向けたものです。経費の使い方はその人の品格を表します。ビジネスパーソンとして、正しい経費の使い方をしているか確認してみましょう。
経費削減は品格

営業マンが管理職以上を目指すなら、経費の使い方を意識することが重要です。
管理職になれるかどうかは、自分を律することができるかどうかで決まります。いくら営業成績が良くても、お金の使い方がだらしない営業マンは、管理職で成功することは難しいと考えましょう。
お金の使い方はその人の品格を表します。
管理職は優秀であるか以前に、気品があるかどうかを見られています。人によって表現は異なりますが、私はこの品格を「毛並みが良いか悪いか」と表現しています。
お金の使い方は育ちとも言えます。世間では、貧しかった人が努力して成り上がるサクセスストーリーがもてはやされていますが、お金は稼ぎ方よりも使い方が重要です。
お金をきれいにつかう意識を持ち、気品のあるビジネスパーソンを目指すことが大切です。
費用対効果を高める経費のつかい方
- 経費は公私混同しない
- 経費をつかうときは部下に見られている意識を持つ
- 経費の年間予算を正しく配分する
管理職以上になると、経費の使い方を意識することが重要です。経費の使い方は成果に直結するため、しっかりと対策をしておきましょう。
経費の使い方を見直すことで、無駄を削減するだけでなく、成果を上げやすくする効果もあります。
経費の話をするとすぐに「経費削減」をイメージする人がいますが、経費の話は経費削減だけではありません。経費を効果的に使うことで、ビジネスの成長や効率化を図ることができます。
たとえば、適切な投資や必要なリソースの確保に経費を使うことで、長期的な利益を生むことができます。経費の使い方を見直し、賢く使うことで、会社全体のパフォーマンスを向上させることができるのです。
経費を使う品格1:経費は公私混同しない

経費は公私混同しないことが大切です。
ビジネスパーソンは、役職が上がるほど経費を公私混同する人が増えます。役職が上がると自分が偉くなったと感じるからです。
しかし、役職が上がっても経費を公私混同しないことが大事です。もし昇進の目的の一つに経費を自由に使うことが含まれているなら、考えを改めましょう。
給料が割に合わないと考える人ほど経費を公私混同する?!
役職が上がるほど、経費の無駄遣いが増える傾向があります。経費を無駄遣いする理由の一つは、与えられた仕事に対して給料が割に合わないと感じる不満です。
たとえば、年収800万円の課長が経費を公私混同すれば、年間1000万円以上の所得がある人と同じ生活水準を体験できます。
単身赴任の課長が部下を誘って経費で飲食をすれば、自分のお金を使わずに済みます。部下を連れて行くという理由で、普段よりも少し高いお店でおいしい食事とお酒を楽しむことができます。一緒に飲むのはお客様ではなく部下なので、気を使うのは部下の方です。自分の身銭を切らず、自分の武勇伝を語りながら楽しくお酒を飲むことができるでしょう。
しかし、このような経費の使い方をしている課長を見て、部下はどう思うでしょうか。食事に付き合わされ、経費を無駄遣いしている課長に憧れるでしょうか。
もし憧れる部下がいたら、その部下も将来経費を無駄遣いするために昇進を目指すかもしれません。経費を成果と関係のない浪費に使うことは会社にとって利益にならず、業績が悪化すれば自分たちにしわ寄せが来ることを忘れてはいけません。
経費を使う品格2:経費を公私混同しないために意識しておくこと
経費を使うときは、経費を使った後の効果を意識することが重要です。
もしあなたがだらしない経費の使い方をしていると、部下が経費を無駄遣いしたときに注意できなくなるリスクがあります。「赤信号みんなで渡れば怖くない」という状態を作ることは、会社の将来にとってもマイナスです。
会社が傾けば、退職金の減額など、あなた自身にも影響が及ぶことを忘れないようにしましょう。
経費をつかうときは部下に見られている意識を持つ

経費を使うときには、部下にお金の使い方を見られていることを意識することが重要です。
優秀な部下ほど、上司が優秀かどうかを観察しています。あなたが理想の上司になるか反面教師になるかで、部下の信頼度も変わります。
上司が経費を使う際に意識すべきことは、経費が直接的な営業成績に関係するかだけでなく、将来の時間短縮につながるかどうかです。
仕事は時間との戦いです。たとえば、社有車を使う場合、高速道路の利用方法まで意識することが大切です。
長距離の移動が必要な場合、費用が多少上がっても公共交通機関を利用する選択肢もあります。遠方のお客様を訪問する際、公共交通機関を使うメリットはふたつあります。
ひとつは、営業パーソンが移動中にたまっている事務処理を進められること。もうひとつは、営業パーソンの目的は長距離運転ではなく商談であることです。公共交通機関を使うことで営業マンが仕事を円滑に進められるのであれば、経費を使う価値があります。経費をいくら使うかだけでなく、経費を何に使うかが重要です。
経費は費用だけでなく効果を意識すること
実際にかかる経費は、安いに越したことはありません。
経費削減と言えば、多くの社員は経費を使わないことだけに意識を向けがちです。もちろん、社員一人ひとりが経費削減を意識することで、全体で大きな経費削減効果が得られるため、経費削減を意識してもらうことは重要です。
しかし、管理職になっても経費削減が経費をゼロにすることだと考えるのは問題です。経費削減は、費用対効果を意識した上で行うことが重要です。経費を使うこと自体が悪いのではなく、効果のないことに無駄に経費を使うことが悪いのです。経費を投資としてみたとき、かけた経費に見合う回収ができるのかという視点をもちましょう。
経費を使う品格3:経費の年間予算を正しく配分する

経費は売上予算や粗利予算と同じように、年間を通じて計画を立てることが重要です。
営業職であれば、売上予算や利益予算が設定されています。利益が会社の収入であり、経費は会社の支出です。営業パーソンが会社に持ち帰ってくる利益を、経費で無駄遣いしてしまうことは、営業マンの努力を無駄にすることと同じです。
お酒の接待やゴルフ接待が完全になくなったわけではありませんが、昔に比べて減っています。今の時代は、公私をきちんとわけることが当たり前です。
時代が変わっているのに、従来の慣習を形だけ続けることは経費の無駄遣いに過ぎません。経費を使う立場にある人は、一度真剣に経費の有効活用について経営層で議論してみるといいでしょう。
費用対効果を上げる経費のつかい方はアイデア次第
例えば、お酒を飲む社員が少ない会社であれば、新年会や忘年会をお酒なしにしてみるのも一つの方法です。お酒なしの食事会にすることで、同じ予算で普段よりもおいしい食事を社員に提供することができます。新年会や忘年会の目的を再考してみましょう。
上司が社員に接待をさせるようでは本末転倒です。社員をねぎらうための開催なら、社員たちをお客様のようにもてなしてみてはどうでしょうか。
経営層や管理職、社歴の長い人たちは不満に思うかもしれませんが、将来の会社を担う人たちを主役にすることは組織の活性化にとって重要です。
社内向けの経費の費用対効果を考えるなら、上層部が喜ぶ行事ではなく、実務者として貢献している社員を主役にする行事を企画することを意識しましょう。
【まとめ】費用対効果を高める経費の使い方

- 経費は公私混同しない
- 経費をつかうときは部下に見られている意識を持つ
- 経費の年間予算を正しく配分する
費用対効果を高める経費の使い方のポイントをまとめましょう。
ビジネスパーソンとして活躍するためには、自分を律することが重要です。経費はビジネスパーソンとしての品格を試されています。
経費削減が節約だとしたら、費用対効果を高める経費活用は投資です。正しい経費の使い方は、成果につながる必要経費を使うことです。
ぜひ、あなたの会社でも経費の使い方について考えてみてください。